株式会社colyとは
2014年に東京都港区においてエンターテインメントネットメディア事業の運営を目的として創業。現在はモバイルオンラインゲームの企画、開発及び運営を軸に事業を展開。
女性に特化したスマホゲームの企画・開発をしている。マネタイズはゲーム課金だけでなく、物販などにも広げている。
会社概要
会社名:(株)coly
代表者名:中島 瑞木
創業年:2014年2月
上場年:2021年2月
上場コード:4175
発行市場:マザーズ
業種分類:情報・通信
会社URL:https://colyinc.com/
投資家情報:-
採用サイト:https://recruit.colyinc.com/
ビジネスモデル

顧客に提供している価値を一言で表すと、「女性に特化したコンテンツの接触場所(プラットフォーム)」の提供です。
・女性に特化したコンテンツを「スマホゲーム」「物販」「カフェ」等で提供
・コンテンツ提供方法はデジタルコンテンツだけでなく、物販で「モノ」、カフェで「経験」などに広げている
【ビジネス構造】
事業はわかりやすく「スマホゲームの企画会社」。ゲームコンテンツをスマホの中だけでなく、物販・カフェような”デジタル外”に広げている。
mixiやガンホー・オンライン・エンターテイメントのようなスマホゲーム会社との違いは「女性に特化」していること。特に時間も所得も一定ある夢女子や腐女子などの特定のニッチ層に特化して展開をしているのが面白い。
この領域での難しい点は「可処分時間の取り合い」になること。
人間に使える時間が24時間しかなく、新しいコンテンツやサービスがでると、その使える24時間を奪い合わなければならなくなること。なので、可処分時間を奪い合うサービスを作っている企業はいかに新しい取り組みや仕組みを作るのかが大切になる。
その点、colyは「特定層に特化」していることで、サービスの横展開がしやすかったりする。
また、後述するが特定層に特化していると「コンテンツの流通方法」に幅を持たせることができるので、可処分時間を物理的に獲得することができるのもいい。
一方で、コンテンツを作り続け、流通させ続けなければならないので「マラソン的に走り続けられれる」経営が必要になる。
【ユーザー開拓】
収益は広い意味での「ユーザー課金」。スマホデジタルコンテンツの課金だけでなく、物販やIPからの収益ににある。そのため、既存ユーザーの課金最大化に加えて、新しいユーザーの獲得が必要になってくる。
現状は広告媒体やSNSを使った開拓を図ったいるようだが、今後戦略的に進めていこうとしている「アニメ化」「舞台化」「コミカライズ」などをのメディアミックスで新規のユーザーの「目」に触れさせることで獲得をしていくとのこと。
今以上のユーザー開拓ができれば、ユーザー課金方法の多様化でアップセルをさせることができる。
売上推移


・売上推移は若干鈍化してきているが右肩上がりで好調
・タイトル別の売上高の「2020年10月」は第3四半期で途中経過
・新規タイトルの「魔法使いの約束」が今後の柱か
有価証券報告書から2016年以降の売上・利益・利益率・タイトル別の売上高を整理しました。タイトルごとに「当たり」「はずれ」があるののの、比較的新規のタイトルが即売上にインパクトしていくような仕組みができていそう。
特に『魔法使いの約束』はいきなりcolyの柱になっていきそうなインパクトがある。
経営者の略歴
中島 瑞木(代表取締役社長)
2013年4月 モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 投資銀行本部 入社
2014年2月 当社設立 代表取締役
2018年4月 当社 代表取締役社長(現任)
・代表と副代表は双子姉妹
・投資会社入社から1年未満でcoly設立
これからの戦略を独自解釈をする
新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)(提出日:202年1月21日)には以下が「課題」として置かれておりました。
課題≒今後の打ち手であり、これから何をすべきかがかかれているので内容を砕いて解釈してみました。課題は抜粋しているので詳細は有価証券報告書を参照ください。
徹底的な品質への挑戦による面白いコンテンツの創造
有価証券報告書の要約
・徹底的に品質にこだわり、ターゲット層に向けた新たなタイトルを展開していく
・創業以来IPの自社開発によるコンテンツ事業を行ってきた
・今後は開発運営ノウハウを活かした他社IPのゲーム化等、新たな取り組みで安定成長を目指す
可処分時間を奪い合う事業において、ユーザーを引き付けるのは「コンテンツ」になる。ユーザーに飽きられないコンテンツを継続的に作り続けられる事が競争優位性。「特定層に特化」している事業体がゆえ、仕組み化ができれば強い。
そして、同じような領域を開発したい企業と戦うのではなく、支援するというスタンスは今後の継続成長を見据えての考え?
1タイトルあたりの収益源の多様化
有価証券報告書の要約
・現在3タイトルを運営
・今後は新規タイトルの創出と既存タイトルの続編展開等で1IPあたりの長期的な成長を目指す
・グッズ販売や他社商品等への権利許諾、一部タイトルでのアニメ化等を中心に活用
・複数タイトルでのアニメ化、舞台化、コミカライズ等のメディアミックス展開で収益源の多様化を図っていく
「特定層に特化」しているため、デジタル領域(=スマホゲーム内)での課金には天井が出てきてしまう。そのため、デジタル以外の領域で収益を上げる仕掛けが必要になってくる。
そのうち手として、グッズ販売・IP権利許諾等による収益をあげられる仕掛けを作っている。また、その先には複数タイトルでの「アニメ化」「舞台化」「コミカライズ」などの複数メディア活用を検討しており、現状のスマホゲーム課金・物販・IP権利許諾につなげるチャネルを増やすとのこと。
そもそも「目に触れる事が増える」ことですそ野が広がっていくので面白い。
展開エリアの拡大
有価証券報告書の要約
・韓国及び台湾で、韓国版「ドラッグ王子とマトリ姫」、繁体字版「スタンドマイヒーロー
ズ」を展開
・今後はさらなる海外展開を進めていく
・中国圏は女性向けゲーム市場の成長が著しい
・2018年から2023年の年平均成長率は18.4%、2023年には日本円にして約1兆4,000億円の規模まで拡大されると推測
・日本市場と文化的に共通する市場であると考えている
・現地企業との協業等、適切なローカライズにより進出余地がある
・将来的には北米をはじめとしたエリアへの拡大も目指す
スマホゲーム+αは市場から認められれば展開エリアは関係がないはず。なので海外で同じような文化があれば展開可能性があるはず。
ただ、同じような事業体としてローカル企業があるはずでその企業群とどのように差別化していくのが気になる。
ターゲット層の拡大
有価証券報告書の要約
・ターゲットの「夢女子」や「腐女子」を含む女性向けゲーム市場自体は拡大傾向
・2020年度には800億円を超える市場規模になると見込んでいる
・国内スマホゲーム市場全体の規模からするとニッチな市場
・市場環境を見極め、ターゲット層ごとの特性に即した戦略でコンテンツを拡大していく
「1タイトルあたりの収益源の多様化」で前述した通り、ユーザーを拡大させていくためには、目に触れる機会を増やすことが必要。夢女子&腐女子のユーザーを獲得していくために必要なチャネルを抑えて、そのチャネルを活用して他社IP支援などがいい気がするが…。
ただ、他社IP支援をどこからどこまでするかによって拡大再生産ができるかが変わってくる。企画から制作、PR、運営、運用など全行程を受けるよりも、既存事業で培った「課金させるまでのグランドライン」をサービス化していった方が支援負荷がすくなく、色んな所でレバレッジが効きそう。
総括/まとめ
・ユーザー獲得がどこまで広げられるのか
・1ユーザーあたりの可処分時間をどれだけ奪えるか
・他社IP支援を見据えた時にどこまでで「支援」をするのか
ユーザーの獲得、ユーザーの可処分時間を奪うための「コンテンツ接触機会」をつくる、他社IP支援。この3つのそれぞれの打ち手が上場後のリッチキャッシュでどうするのかがとても気になりました。
5分で読める企業分析
他の企業の「5分で読める企業分析」まとめも順次作っています。