事業リスクとは
有価証券報告書には「事業にかかわるリスク」の項目が設けられています。具体的には、投資家の投資判断に影響を及ぼす可能性がある項目の記載です。
つまり、有価証券報告書に記載されている事業リスクは同社が現時点で認識している経営・事業のリスクになるものです。
この情報は投資家だけでなく、これから就職を考えている方にとっても参考になります。
本記事は、有価証券報告書に記載されている「事業リスク」をサマリーとして抜粋したものです。詳細情報については本記事の参照元になるコチラの有価証券報告書を確認ください。
GA Technology(GAテクノロジー)とは
数字でみるGATechnology

詳細は「【有価証券報告書より】数字でみるGA Technology【ざっくり可視化】」
会社概要
会社名:(株)GA Technology
代表者名:樋口 龍
特色※:不動産総合プラットフォーム「RENOSY」を運営。不動産業向けSaaS事業を育成中
創業年:2013念3月
上場年:2018年7月25日
上場コード:3491
発行市場:マザーズ
業種分類:不動産
会社URL:https://www.ga-tech.co.jp/
IRライブラリー:https://www.ga-tech.co.jp/ir/
採用サイト:https://www.ga-tech.co.jp/careers/
※Yahoo!ファイナンスより抜粋
GA Technologyが考えている事業リスク
経営・事業リスクは以下の記載がありました。
(1)不動産取引市場の動向
(2)競合について
(3)賃貸物件の空室時のリスクについて
(4)有利子負債の増加に伴う金利変動リスク及び在庫保有リスクについて
(5)販売物件の暇庇について
(6)外注委託について
(7)技術革新等について
(8)システムトラブルについて
(9)法的規制について
(10)個人情報の管理について
(11)知的財産権について
(12) 自然災害について
GA Technologyが考えている16の事業リスクのサマリー
(1)不動産取引市場の動向
▶[リスク1]不動産取引市場の動向が顧客の不動産投資意欲に影響を与える
[背景]
・不動産業界は、景気動向、金利水準、地価水準等の変化による不動産取引市場の動向に影響される
(2)競合について
▶[リスク2]他社と差別化ができなくなり競争が激化した場合
[背景]
・不動産業界は、競合他社が多く存在している
・GA TechnologyはITを活用した不動産総合プラットフォーム「RENOSY(リノシー)」を利用し他社と差別化を図っている
・今後も「RENOSY (リノシー)」 の機能向上等により他社との差別化を強化する方針
・同様のビジネスモデルを有する他社の参入等により十分な差別化ができなくなり、競争が激化した場合には、価格競争や販売件数の減少等により当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある
(3)賃貸物件の空室時のリスクについて
▶[リスク3]管理している物件の空室が多くなった場合
[背景]
・販売した投資不動産の賃貸管理業務まで一気通貫でサービス提供を行っている
・購入した顧客と当該賃貸物件の一部について空室時の家賃保証契約を行っている
・空室率を低下させるための施策を講じている
・空室が多くなった場合には、家賃保証の費用が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある
(4)有利子負債の増加に伴う金利変動リスク及び在庫保有リスクについて
▶[リスク4]投資不動産を長期保有する場合
▶[リスク5]販売までの期間が想定以上に長期化した場合
[背景]
・投資不動産の販売を行っている
・仕入から販売までの期間が短いため、基本的に当該不動産を長期に保有することはない
・投資不動産の仕入のために有利子負債残高が高水準になる可能性は高くない
・しかし例外的に長期に保有する場合には、借入れによる資金調達が増え、有利子負債残高が高まる可能性がある
・その場合、金利負担の増加やたな卸資産の評価損等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある
・仕入れから販売までの期間が想定以上に長期化した場合には、販売価格の値引きにより販売を促進する施策をとる可能性がある
・その場合には、利益率の悪化等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある
(5)販売物件の暇庇について
▶[リスク6]販売した物件に暇庇が生じ、補修工事や補償等が発生する場合
[背景]
・提供するリノベーションは、一部分について10年間の暇庇担保責任を負っている
・暇庇が生じた場合に備えるため、暇庇担保責任保険に加入している
・しかし販売した物件に暇庇が生じた場合には補修工事や補償等が発生することにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある
(6)外注委託について
▶[リスク7]要求水準を満たす外注先を十分に確保できない場合
▶[リスク8]エ期の遅延等が発生した場合
[背景]
・提供するリノベーションの工事については、建築工事業務を外注先に委託している
・施工能力や施工実績、信用力、評判等を総合的に検討し、外注先を選定している
・GATechnologyの要求水準を満たす外注先を十分に確保できない場合やエ期の遅延等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある
(7)技術革新等について
▶[リスク9]技術革新により技術やサービスが競争力を失うような場合
[背景]
・不動産総合プラットフォーム「RENOSY (リノシー)」を活用している
・業務の効率化や情報収集力の強化、データ分析による顧客への効果的な広告配信に努め、他社と差別化化を図っている
・既存システムの改善に加え、それらのBtoB販売を含めた様々な可能性を想定している
・「RENOSY (リノシー)」 がサービスを提供しているインターネット環境は技術進歩が速く、当社グループが想定する以上の技術革新により、当社グループの技術やサービスが競争力を失うような事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある
(8)システムトラブルについて
▶[リスク10]自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合
▶[リスク11]何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合
[背景]
・コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存している
・自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合には、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性がある
・セキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでいる
・何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合には当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある
(9)法的規制について
▶[リスク12]法令違反の発生や新たな法令の制定・法令の改正等が行われた場合
▶[リスク13]許認可の取消等があった場合
【背景]
・不動産業界は、「宅地建物取引業法」、「建設業法」、「国土利用計画法」、「建築
基準法」、「都市計画法」、「建物の区分所有等に関する法律」等の法的規制を受けている
・法的規制を遵守するように努めている
・法令違反が発生した場合や新たな法令の制定・法令の改正等が行われた場合、当社の事業活動が制約を受け、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある
・事業活動を行うに際し以下の許認可を得ており、現在、許認可が取消となる事由は発生していない
・しかし、今後何らかの理由によりこれらの許認可の取消等があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある
(10)個人情報の管理について
▶[リスク14]個人情報が漏えいしてしまった場合
[背景]
・会員やオーナーの情報等の個人情報を保有している
・「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けている
・プライバシーマークを認証取得するとともに、個人情報の取り扱いの重要性については社内研修等を通じて社員へ啓蒙活動を継続的に実施するなどの施策をしている
・何らかの理由で個人情報が漏えいしてしまった場合、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある
(11)知的財産権について
▶[リスク15]第三者の知的財産権の侵害が発覚した場合等
[背景]
・他社の知的財産権を侵害している事実は認識していない
・しかし第三者の知的財産権の侵害が発覚した場合等においては、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある
(12) 自然災害について
▶[リスク16]事業展開している地域で不測の大規模地震や台風等の自然災害等が発生した場合
[背景]
・事業展開している地域は、首都圏や関西圏が中心となっている
・これらの地域で不測の大規模地震や台風等の自然災害等が発生した場合、当社グループの不動産価値の低下や事業展開に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある
リスクサマリー一覧まとめ
[リスク1]不動産取引市場の動向が顧客の不動産投資意欲に影響を与える
[リスク2]他社と差別化ができなくなり競争が激化した場合
[リスク3]管理している物件の空室が多くなった場合
[リスク4]投資不動産を長期保有する場合
[リスク5]販売までの期間が想定以上に長期化した場合
[リスク6]販売した物件に暇庇が生じ、補修工事や補償等が発生する場合
[リスク7]要求水準を満たす外注先を十分に確保できない場合
[リスク8]エ期の遅延等が発生した場合
[リスク9]技術革新により技術やサービスが競争力を失うような場合
[リスク10]自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合
[リスク11]何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合
[リスク12]法令違反の発生や新たな法令の制定・法令の改正等が行われた場合
[リスク13]許認可の取消等があった場合
[リスク14]個人情報が漏えいしてしまった場合
[リスク15]第三者の知的財産権の侵害が発覚した場合等
[リスク16]事業展開している地域で不測の大規模地震や台風等の自然災害等が発生した場合
リスクサマリーのざっくり整理
GA Technologyが対峙しているマーケットが「投資用不動産」であり、それに付随するリスクが記載されているようです。
特に「物件関連」は見えないリスクになる可能性がある。
- 物件が売れない
- 災害で物件の状況が悪くなる
- 法改正の変更
ただ、他の投資用不動産会社と違うのが、IT・データ・M&Aを活用している点。実際に話を聞いたことがあるが、よく持たれる懸念のほとんどをITとデータとM&AのFACTデータで解消仕様としているところ(いい意味で外資保険のセールスに似たにおいがした…)
まとめ
2020年1月に開示された『2019年10月期 有価証券報告書』を参考にGA Technologyの事業・経営リスクをまとめました。
株式投資の判断だけでなく、就職活動や企業分析の参考にしてもらえればと思います。また新しい情報が開示されれば更新していきます。